投資リスクとのつきあい方〈下〉紙ヒコーキで学ぶオプション取引
『投資・今日の一冊』
投資リスクとのつきあい方〈下〉紙ヒコーキで学ぶオプション取引
吉本 佳生
おすすめ度: 
発売元: 講談社
株式のオプション取引は、通常の株式の売買と比べると一般にはなじみが薄いが、これはそのしくみが若干複雑なのも一因であろう。本書は、『金融工学の悪魔』などの著作で知られる経済学の専門家による、株式のオプション取引の入門書である。 本書の特徴は、株式投資の初心者が実際にオプション取引を行うことを想定して書かれている点である。まず、「教科書的な説明」としてコールオプション、プットオプションの説明にはじまり、ストラドルやストラングルなどのオプションの基本用語を、株価の変動を紙ヒコーキにたとえながら解説している。また、確率論を使ったオプションのリスク管理の方法についても述べられている。さらに読者の理解を助けるために、実戦編として著者が実際に1か月間オプション取引を行い、その経過と結果が報告されている点がおもしろい。 著者の狙いどおり、株式投資のまったくの初心者がオプションを手がけるかどうかはわからないが、本書の丁寧な解説は、オプション取引に興味を持っている投資家にとっては参考になるだろう。また、オプションの概念が数式を使わずにうまく説明されているので、理論を学びたい人の入門書としても適当といえる。 なお、本書の姉妹編として『投資リスクとのつきあい方 上』が発刊されているが、こちらは主に株式投資リスクの管理方法について述べられている。上下巻それぞれが基本的には独立した内容となっているが、2冊を通して読むことで、より理解が深まるように工夫されている。(戸田啓介)
理論編はまずまずだが…
第4章の著者自身によるオプション取引の実践記録が傑作。理論にはめっぽう強い著者が、せっかく立派なポリシーを立てて投資を始めたのに、「スリルが足りない」というとんでもない理由であっさりと方針転換、追加投資をした途端に裏目に出て大幅下落で大損、最後はビギナーズラックでほんのわずかの利益、と、感情に流されっぱなしの初心者的姿は微笑ましくもあり、哀れでもある。
理論編は確かによく工夫された説明だが、そもそもオプション理論をこんなにやさしく説明してもらわないと理解できないような人は、オプション取引に近づかないほうがよい。(感情に流されるような未熟投資家である)著者が本書中で強く勧める通り、「初めての証券投資」で初心者がオプション取引に手を染めれば、寝覚めの悪い日々を送ることになるのは確実である。
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